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2024-06-21

すい臓がんについて知る① 緩和ケア専門施設(ホスピス)

福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。

今回はすい臓がんについて書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的にすい臓癌の利用者様をお受入れしていきます。

膵がんとは膵臓から発生した悪性の腫瘍のことを指しますが、一般には膵管癌のことをいいます。膵管癌は膵管上皮から発生し、膵臓にできる腫瘍性病変の80-90%を占めています。全国統計では肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんについで死因の第5位でした。わが国の膵がんは近年増加傾向にあり、毎年3万人以上の方が膵がんで亡くなっています。膵がんの死亡数はこの30年で8倍以上に増加しました。60歳代の方に多く、やや男性に多く発症します。喫煙、膵がんの家族歴、糖尿病、慢性膵炎などとの関連が指摘されています。

症状について

 膵がんは早期の状態では自覚症状がほとんどないため、なかなか発見することができません。もう少し進行してから腹痛、体重減少、黄疸等で気がつくことがほとんどです。そのため、膵がんと診断されたときには進行した状態で見つかることが多いのです。また、背中が痛くなると膵がんを心配する方がいらっしゃいますが、必ずしも膵がんに特徴的な症状ではありません。糖尿の方の血糖値コントロールが急に悪くなった時などは膵癌を発症している場合もあるので要注意です。

  • 腹痛

    膵がんは膵管から発生するため、膵臓の中の主膵管という膵液が集まる管が詰まってしまうことがあります。主膵管が詰まってしまうと作られた膵液の逃げ場が無くなり、内部の圧力が上昇し膵管が拡張します。膵管の拡張は膵がんの重要なサインの一つです。また、膵管の内部の圧力が上昇し、膵臓に炎症がおこります。これを随伴性膵炎といい、随伴性膵炎により腹痛や発熱を伴うことがあります。

  • 黄疸
    肝臓から総胆管という管が膵臓の頭部を貫いて十二指腸に流れており、肝臓で作られた胆汁という消化液を十二指腸に運んでいます。膵がんにより胆管が圧迫されることがあり、胆管への圧迫が進むと、胆汁の流れがさまたげられ、全身が胆汁により黄色くなる黄疸という症状が出現します。黄疸が進行すると全身の皮膚が黄色みがかり、かゆみなどが出現しますが、黄疸の初期症状では尿の色が濃くなることや、目の白目の部分(眼球結膜)が黄色味をおびます。膵頭部にできた膵がんは大きさが小さい段階でも総胆管を圧迫し黄疸が出現することがあり、早期発見につながります。尿の色が黄色っぽくなる、目の白目の部分が黄色くなるなどの症状を自覚された際には専門病院での精密検査をお勧めします。

  • 体重減少

    膵臓は胃、大腸、十二指腸などに接しています。膵臓に腫瘍ができると接している臓器を圧迫して、食事がとれなくなる場合があります。その場合、体重減少という形で症状が現れることがあります。また膵臓はたべものを消化し吸収し易くする膵液という消化液を分泌しております。膵がんにより膵液の流れがとどこおるとたべものの消化吸収する力が弱くなり、栄養をとりこめなくなり体重が減少することがあります。

  • 糖尿病
    もともと糖尿病を患っている方で突然、血糖値の値が不安定になったり、今まで、糖尿病ではなかった方が、初めて糖尿病と診断されたりしたときに、精密検査を行うと膵がんが発見されることがあります。膵臓はインスリンという血糖値を下げる働きをする内分泌ホルモンを分泌しています。膵がんにより膵臓の内分泌機能が落ちて、インスリンの分泌量が低下、糖尿病の悪化、出現という形で症状が出るためです。

膵臓がん 検査

1.血液検査(血中膵酵素)

血液中の膵酵素の値が増加していないかを調べる検査です。膵酵素とは膵臓で作られる酵素で、アミラーゼ、エラスターゼ1などがあります。膵臓がんがあると、膵酵素が血液中に漏れ出て、血中膵酵素の値が高くなることがあります。しかし、がんがあっても値が高くならないことや、他の病気によって高くなることもあります。

2.腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行う検査です。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞などに反応した細胞によって作られます。しかし、腫瘍マーカーの値の変化だけでは、がんの有無やがんが進行しているかどうかは確定できません。また、がんがあっても腫瘍マーカーの値が高くならないこともあります。

膵臓がんでは、CA19-9、SPan-1、DUPAN-2、CEA、CA50などを血液検査で測定します。


3.超音波(エコー)検査

体の表面にあてた超音波プローブ(探触子)から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像化して観察する検査です。がんの位置や形、臓器の形や状態、周辺の血流の様子などを確認するために行われます。検査での痛みはなく、その場で画像を確認することができます。

なお、CT検査やMRI検査、超音波内視鏡検査といった他の検査での画像診断が十分に行われる場合、超音波検査は行わないことがあります。


4.CT検査

X線を体の周囲から当てて、体の断面を画像にする検査です。がんの有無や広がりを見たり、リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認したりするために行われます。膵臓がんでは、がんの位置や形を細かく映し出すために造影剤を使います。


5.MRI検査

強力な磁力と電波を使い、磁場を発生させて行われる検査です。体の内部のさまざまな方向の断面を画像にすることができ、がんと正常な組織を区別して映し出します。がんの有無や広がりを見たり、他の臓器への転移を確認したりするために行われます。より詳しく調べるために造影剤を使うことがあります。


MR胆管膵管撮影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)

胆管や膵管の状態を詳しく調べる検査です。MRIを撮影し、コンピューターを使って胆道、膵管を画像にします。内視鏡や造影剤を使わずに、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と同様の画像を作ることができます。体への負担が少ないので、ERCPの代用として行われることが多くなっています。


6.超音波内視鏡検査(EUS:Endoscopic Ultrasonography)

先端に超音波プローブをつけた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸から膵臓の病変を確認する検査です。体の外からプローブをあてるよりもずっと近い距離から膵臓を観察できるため、詳細な画像を作ることができます。病変部に針を刺して組織を採取する超音波内視鏡下穿刺せんし吸引生検(EUS-FNA)が行われることもあります。

7.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography)

口から内視鏡を入れ、先端を十二指腸まで進めた後、十二指腸乳頭(膵管と胆管の出口)に細い管を通して造影剤を注入し、膵管や胆管をX線撮影する検査です。この際、膵管内の細胞を採取する膵液細胞診検査が行われることもあります。他の検査で診断が確定しなかった場合に行われることがある重要な検査ですが、急性膵炎などの合併症を起こすことがあります。


8.病理診断(細胞診・組織診)

がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断を確定するための検査です。超音波内視鏡検査(EUS)を使った超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)や、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を使った膵液細胞診検査などで採取された組織や細胞を、顕微鏡を使って診断します。


9.PET検査

放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞など細胞分裂が盛んな部位に取り込まれるブドウ糖の分布を画像にする検査です。膵臓がんが疑われている状態で、膵臓がんかどうかをより詳しく調べる目的で実施する検査としては勧められていません。膵臓がんの診断が確定し、他の臓器への転移などについて確認する目的などで行われることがあります。


10.審査腹腔鏡

肝臓への転移や腹膜播種が疑われる場合に行われることがある検査です。正確な病期(ステージ)を診断することを目的に行われます。全身麻酔をしておなかに小さな穴を開け、腹腔鏡と呼ばれる細い内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察します。


病期と治療の選択

1)ステージ(病期)

がんの進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類します。ステージは、ローマ数字を使って表記することが一般的で、Ⅰ期(ステージ1)・Ⅱ期(ステージ2)・Ⅲ期(ステージ3)・Ⅳ期(ステージ4)と進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。なお、膵臓がんではステージのことを進行度ということもあります。

膵臓がんでは0期~Ⅳ期まであり、がんの大きさ、周囲への広がり、リンパ節や他の臓器への転移があるかどうかによって決まります(表1、2)。全身の状態を調べたり、ステージを把握する検査を行ったりすることは、治療の方針を決めるためにとても重要です。

膵臓がんの病期の分類には、日本では「膵癌取扱い規約(日本膵臓学会編)」(表1)、または「TNM悪性腫瘍の分類(UICC)」(表2)が用いられ、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。

Tカテゴリー:原発腫瘍の大きさや周囲への広がりの程度
Nカテゴリー:リンパ節への転移の有無
Mカテゴリー:他臓器などへの転移(遠隔転移)の有無

手術(外科治療)

膵臓がんの治療では、手術でがんを切除できると考えられる「切除可能」である場合、できる限り手術をします。手術には、膵頭すいとう十二指腸切除術、膵体尾部すいたいびぶ切除術、膵全摘術があります。

手術方法により異なりますが、一般的には、膵体尾部よりも膵頭部の切除のほうが、腸とつなぎ合わせる部位が多いため、回復に時間がかかります。また、がんの位置によっては、腸の動きを調整する神経も一緒に切除するため、下痢を起こしやすくなります。切除する膵臓の範囲によっては、糖尿病や消化吸収障害などが起こり、治療が必要になることがあります。

がんが周囲の血管を巻き込んでいるなどの理由で、手術でがんを取り切れるか判断が難しい「切除可能境界」である場合は、化学療法や化学放射線療法を行った後、治癒につながる切除が可能かどうかをあらためて検討した上で、手術を行うことがあります。


1)膵頭十二指腸切除術

膵頭部を中心にがんがある場合、十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部を切除します。がんが胃の近くにある場合は胃の一部を、がんが血管を巻き込んでいる疑いがある場合は血管の一部も切除します。

これまでは、胃の2/3の切除を伴う膵頭十二指腸切除術(PD)が広く行われていました。最近では、できるだけ切除する範囲を少なくする、胃のすべてを残す幽門輪ゆうもんりん温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)や胃の大部分を残す亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(SSPPD)に変わりつつあります(図4、5)。切除後は、残った膵臓を小腸につなぎ合わせ、膵液が小腸に流れるようにします(再建手術)。同様に、胆管と小腸、胃と小腸もつなぎ合わせます。

手術後は、切除した部分や、つなぎ合わせた部分から胆汁や膵液が漏れることがあり、感染、腹膜炎、出血が起こることがあります。また、一時的に胃からの食べ物の排出が遅れることによって、食事がうまく食べられなかったり、吐き気が起こったりすることがあります。その場合には、状態が回復するまで点滴や中心静脈栄養などで水分や栄養を補うことがあります。感染によって胆管炎が起こった場合には、抗菌薬で治療します。


 

2)膵体尾部切除術

膵体尾部のがんの場合、膵臓の体部と尾部を切除します。通常は脾臓ひぞうも摘出します。消化管は切除しないので、消化管同士をつなぎ合わせる再建手術は必要ありません(図6)。

手術後は、膵臓を切離した部分から膵液が漏れることがあり、感染、腹膜炎、出血が起こることがあります。また、胃から食べ物が一時的に排出されなくなることによって、食事がうまく食べられなかったり、吐き気が起こったりすることがあります。その場合には、状態が回復するまで点滴や中心静脈栄養などで水分や栄養を補うことがあります。

脾臓を摘出した場合には、肺炎球菌などの細菌に対する抵抗力が落ちるため、肺炎球菌ワクチンの予防接種が勧められています。


3)膵全摘術

がんが膵臓全体に及ぶ場合は、膵臓をすべて摘出します。膵臓をすべて摘出することによって、インスリンなどのホルモンや消化酵素が分泌されなくなります。そのため、糖尿病や消化吸収障害、脂肪肝などが起こります。糖尿病に対しては、定期的にインスリンを使用します。また、消化吸収障害、脂肪肝に対しては、膵液のかわりになる消化剤を服用します。

3.放射線治療

膵臓がんの放射線治療には、治療の効果を高めることを目的とした化学放射線療法と症状緩和を目的とした放射線治療の2つがあります。

1)化学放射線療法

放射線治療と化学療法(細胞障害性抗がん薬による治療)を組み合わせた治療法です。遠隔転移はないと判断されるものの、がんが膵臓近くの重要な血管を巻き込んでいることが明らかで、手術ができない局所進行切除不能膵臓がんの場合に行われます。

化学療法と組み合わせることで治療の効果を高めることが期待でき、局所進行切除不能膵臓がんに対する標準治療の1つとして勧められています。なお、粒子線治療(重粒子線治療、陽子線治療)が受けられる場合がありますが、実施される施設は限られています。希望する場合は担当医に相談しましょう。

そのほかに、手術ができない膵臓がんでは、痛みを和らげるために行われることがあります。

2)痛みの緩和を目的とした放射線治療

手術ができない局所進行切除不能膵臓がんや、遠隔転移がある膵臓がんの場合に、痛みを和らげるために行われることがあります。また、骨転移による痛みを和らげる治療として行うことが勧められています。

3)放射線治療の副作用

放射線を当てる場所や放射線の量などによって症状は異なりますが、一般的には、皮膚の色素沈着、吐き気・嘔吐おうと、食欲不振、白血球の減少などがあらわれます。まれに胃や腸の粘膜が荒れて出血することで、黒い便が出ることもあります。


4.薬物療法

膵臓がんの薬物療法では、主に細胞障害性抗がん薬を使います。なお、病状や治療の状況によって、がん遺伝子検査が行われることがあり、その結果によっては、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を使う場合があります。

細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを標的にして、がんを攻撃する薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(がん細胞が免疫にブレーキをかけるのを防ぐ)薬です。

薬物療法で使用する薬の組み合わせは複数あります。どの種類の薬を使うかは、治療の目的、がんの状態や臓器の機能、薬物療法に伴って起こることが想定される副作用などについて、本人と担当医が話し合って決めていきます。薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者に尋ねてみましょう。

1)術前補助化学療法・術後補助化学療法

手術でがんを切除可能な場合、手術の前や後に、一定期間薬物療法を受けると、再発しにくくなることや、生存期間が延長することが示されています。そのため、手術の前後にそれぞれ有効性が確認された異なるレジメン(薬剤の用量や用法、治療期間を明記した治療計画のこと)での薬物療法を行います。使う薬の種類は、細胞障害性抗がん薬です。なお、病期が0期の場合には、手術の前後に薬物療法は行いません。

2)手術できない場合・手術後再発した場合の薬物療法

(1)一次化学療法

手術ができない場合や、手術後に再発した場合にも、がん自体の進行を抑え、延命および症状を和らげることを目的とした薬物療法を行います。また、放射線治療と組み合わせた化学放射線療法を行うこともあります。細胞障害性抗がん薬を単独、または組み合わせて使います。

なお、がん遺伝子検査の結果、BRCA遺伝子に生まれつき変異がある場合には、白金製剤と呼ばれる種類の細胞障害性抗がん薬を使って治療した後に、分子標的薬を使った維持療法(細胞障害性抗がん薬の効果を維持するために行う治療)を行うこともあります。

(2)二次化学療法(一次化学療法が効かなくなった場合に用いる薬物療法)

一次化学療法が効かなくなり、がんが進行した場合には、それまでの治療で使っていないほかの薬で治療を行います。

なお、二次化学療法では、がん遺伝子検査の結果によって、使用する薬の種類を検討します。MSI検査高度陽性(MSI-High:遺伝子に入った傷を修復する機能が働きにくいために起こる状態)と、腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High:がん細胞のゲノムに起こった遺伝子変異が多い状態)の場合は、免疫チェックポイント阻害薬を使うことがあります。また、NTRK融合遺伝子陽性(正常なNTRK遺伝子の一部が他の遺伝子と何らかの原因で融合した遺伝子変異)の場合には、この遺伝子変異がある場合に有効であることが分かっている種類の分子標的薬を使うこともあります。

《 ひいの邱・ながおの郷でお受け入れしている入居対象疾患 》

●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー 
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群  ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病  ●頸髄損傷  ●進行性核上皮麻痺  ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎 
●大脳皮質基底核変性症  ●脊髄小脳変性症  ●スモン  ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症  ●プリオン病  ●ライソゾーム病  ●人工呼吸器の方 
●気管カニューレの方

《 ひいの邱 》
形態:住宅型有料老人ホーム(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目9番15号

《 ながおの郷 》
形態:サービス付高齢者向け住宅(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目4番21号