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亜急性硬化性全脳炎について知る① 緩和ケア専門施設(ホスピス)
福岡市でがん難病専門緩和ケア施設(ホスピス専門)の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。
今回は亜急性硬化性全脳炎について書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に亜急性硬化性全脳炎の利用者様をお受入れしていきます。
亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis) は、その頭文字をとってSSPEともいわれています。麻疹(はしか)に感染してから数年の無症状の期間を経て、微細な神経症状が現れます。発病後は数か月から数年の経過(亜急性の経過)で徐々に神経症状は悪化し、数年から十数年で死に至る重篤な疾患です。
通常のウイルス感染が数日から数週の間に発症するのに対し、このように潜伏期間が数年と長く、ゆっくりと進行するウイルス感染を遅発性ウイルス感染と呼びますが、SSPEはその代表的な病気の一つです。
発生頻度
麻疹に罹患した人の数万人に1人がSSPEを発症します。現在、国内に150人くらいとされています。年間発症数は、以前は10-15人くらいでしたが、麻疹ワクチンの普及後は減少し、最近では年間5-10人です。
SSPEを発症するのは、1歳未満に麻疹に感染した場合や免疫機能が低下している状態(ステロイドホルモン、免疫抑制剤、抗がん剤などを長期に使用しているような状態)で麻疹に感染した場合に多いのが特徴です。男女比は2:1くらいでやや男児に多いとされています。SSPEを発症する好発年齢は学童期で、全体の80%を占めます。
発症機序
SSPEの発症メカニズムはまだ正確には判っていませんが、発症に関与する要因として宿主側のものとウイルス側のものがあります。
1歳未満で麻疹に罹患した場合や免疫機能が低下している状態で麻疹に罹患した場合にSSPEを発症する割合が高くなります。このことから、中枢神経系がまだ十分発達していない幼少期に麻疹に感染すると、免疫系の監視システムが充分に働かない場合には、中枢神経系に持続感染してしまうのではないかと考えられています。
SSPEの患者さんから分離されるウイルスは通常の麻疹ウイルスとは性状を異にしており、SSPEウイルスと呼ばれています。SSPEウイルスは、野生型の麻疹ウイルスと比べると、ウイルス粒子の形成と細胞からの遊離に重要なMタンパク質をつくるM遺伝子に特有の変異が生じています。SSPEウイルスではMタンパク質の機能が失われており、感染性のある遊離ウイルス粒子を産生せず、隣り合う細胞を融合させて感染がゆっくり拡大していきます。
どのような宿主因子が麻疹ウイルスの持続感染を許すのか、感染した麻疹ウイルスがどのようにしてSSPEウイルスに変異するのかなど、まだわからないことが沢山あります。SSPEの発症メカニズムの解明は、SSPEの発症リスクの予測やSSPEの新しい治療法の開発などに結びつくものと期待されます。
臨床症状
初発症状としては、学校の成績低下、記憶力の低下、いつもと違った行動、感情不安定といった精神的な症状や、歩行が下手になった、もっているものを落とす、字が下手になった、体ががくんとなる発作(失立発作)が起こるなどの運動性の症状で気がつかれることが多いです。このような症状から、初期には心因反応、精神病、てんかん、脳腫瘍などと間違われることがあります。
SSPEの患者さんは、発症後は同じような経過をとる傾向があります。通常、4つのステージに分けられています。
第Ⅰ期: | 軽度の知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状がみられます。 |
第Ⅱ期: | 四肢が周期的にびくびくと動く不随意運動(ミオクローヌス)がみられるようになり、知的障害が次第に進行し、歩行障害など運動障害も著明になってきます。 |
第Ⅲ期: | 知能、運動の障害はさらに進行して、歩行困難となり、食事の摂取も出来なくなります。この時期には体温の不規則な上昇、唾液分泌の亢進、発汗異常などの自律神経の症状がみられるようになります。 |
第Ⅳ期: | 意識は消失し、全身の筋肉の緊張は著明に亢進し、ミオクローヌスも消失し、自発運動もなくなります。 |
全経過は通常数年ですが、3-4ヶ月で4期にいたる急性型(約10%)や、数年以上の経過を示す慢性型(約10%)もあります。
臨床検査所見
診断に有用な特徴的な検査所見としては以下のようなものがあります。
脳波検査:とくにⅡ期からⅢ期にかけて周期性同期性高振幅徐波結合と呼ばれる特徴的な脳波所見を認めます。
血清の麻疹抗体価の上昇:血液中の麻疹抗体が著しく上昇しています。
髄液麻疹抗体価の上昇:髄液中に麻疹抗体が証明されれば診断的意義は高いとされます。
(SSPE)の治療
本症に対する根本的な治療法はありませんが、いくつかの治療法が保険適応として承認されています。
【薬物療法】
1)イノシンプラノベクスの内服療法
イノシンプラノベクスは、免疫増強作用と抗ウイルス作用を持つ薬剤です。SSPE患者の生存期間の延長効果があると考えられています。副作用は、本剤がいのしんから尿酸に代謝されるため高尿酸血症、肝機能障害、尿路結石、消化管出血などが報告されています。
2)インターフェロン脳室内療法
インターフェロンは、抗ウイルス作用のある薬剤です。これを髄腔内または脳内に投与します。無治療の場合と比べ、病気の進行が抑えられる率が高いと報告されています。しかし効果は一時的で長期予後の改善は見られないとされます。
イノシンプラノベクスとの併用により臨床症状の進展抑制効果があると考えられています。
現在、最も用いられている治療法は、上記 1)と 2)の併用療法です。これにより、生存期間が延長する症例が見られるようになっています。
また研究段階の治療としてリバビリン(抗ウィルス薬)の脳室内投与があります。比較的早期に投与された場合、臨床効果の改善が認めらる症例が多いとされています。
【合併症に対する治療】
病状の進行による摂食困難や誤嚥性肺炎に対し経鼻経管栄養、胃瘻造設があります。呼吸障害に対しては、人工呼吸器または気管切開による呼吸管理を行います。
《 ひいの邱・ながおの郷でお受け入れしている入居対象疾患 》
●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群 ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病 ●頸髄損傷 ●進行性核上皮麻痺 ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎
●大脳皮質基底核変性症 ●脊髄小脳変性症 ●スモン ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症 ●プリオン病 ●ライソゾーム病 ●人工呼吸器の方
●気管カニューレの方
《 ひいの邱 》 ホスピスでホスピスで最期までお看取りができる施設になります。
形態:住宅型有料老人ホーム(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目9番15号
《 ながおの郷 》 ホスピスで最期までお看取りができる施設になります。
形態:サービス付高齢者向け住宅(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目4番21号
《職員募集》
緩和ケアを一緒にしたい、想いのあるケアをしたい仲間を募集中!!
現在100名以上の職員が共に働いています。
【看護師】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)
②夜勤専従看護師:16時~翌10時 もしくは 18時~翌10時)(2時間休憩)
【介護士】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)
②夜勤専従看護師:16時~翌10時 もしくは 18時~翌10時)(2時間休憩)
【事務職】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)