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2024-06-28

唾液腺がんについて知る① 緩和ケア専門施設(ホスピス)

福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。

今回は唾液腺がんについて書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に唾液腺癌の利用者様をお受入れしていきます。

唾液腺がんとは、唾液を作る臓器である唾液腺に発症するがんです。唾液腺に悪性腫瘍が発生する病気のことを指します。唾液腺は、大きく分けると大唾液腺と小唾液腺の2つです。大唾液腺は耳下腺・顎下腺・舌下腺の3つから構成されています。
小唾液腺は、口腔粘膜やのどの粘膜の一部に存在しており、口の中に直接唾液を分泌する働きを持っています。これらの臓器のいずれかで悪性腫瘍が発生した場合が、唾液腺がんです。唾液腺がんのほとんどは耳下腺がんと顎下腺がんであるとされており、舌下腺に腫瘍が発生するケースはまれです。

唾液腺がんの頻度

唾液腺がんは頭頸部がんの3~5%程度といわれており、頭頸科初診のがん患者さん20人に1人ないしはそれ以下になります。

唾液腺がんの中で耳下腺がんは60~70%(耳下腺腫瘍の中の20~30%にあたります)、顎下腺がん20~30%(顎下腺腫瘍の中の30~40%にあたります)、舌下腺がんは2~3%程度です。

唾液腺がんの病理組織像

唾液腺がんの病理組織型(がんを構成する組織や細胞の種類その比率、増殖の仕方などを顕微鏡で見て決定される型)は非常に種類が多いことが特徴です。

2017年のWHOで決められた分類によるとなんと20種類以上にも及んでおり、またそのうちのいくつかでは、臨床的悪性度の点からさらに分類がなされます。これは他の頭頸部がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなど)がほとんど扁平上皮がんという単一の組織型から構成されているのと大きく異なる点です。

症状

1.耳下腺がん

耳下部、耳前部の腫れ

最も多い症状で無痛性腫脹のことが大半ですが、痛みを伴うことがあり、何も原因がないのに痛みを伴う時は悪性腫瘍が疑われます。

顔面神経麻痺

目が閉じにくい、口角が下がる。がんが神経に浸潤するために起こり、悪性腫瘍を疑う症状の一つです。

2.顎下腺がん

顎下部の腫脹

この症状を自覚されて病院を受診する方がほとんどです。耳下腺がん同様に何も原因がないのに痛みを伴う時は悪性腫瘍が疑われます。

3.舌下腺がん

口腔底部の腫れ、オトガイ下部の腫れ

口腔底(舌の下面の部分)の前よりが腫れてきたり、オトガイ下部(顎の骨の下で首の正中部分)がはれてきたりします。この部分が腫れてくる病気にはいくつかのものがありますが、硬く痛みを伴い、口腔底粘膜が汚くなっているような場合(進行例でみられます)は悪性腫瘍を疑います。しかし、実際の臨床では口腔底粘膜から発生した口腔底がんとの鑑別が難しいことも多く、この場合は視触診、画像診断、病理組織型などを参考に診断されます。

また、耳下腺がん、顎下腺がん、舌下腺がんいずれの場合も上述の症状以外に最初の症状として頸部のリンパ節が固く腫れて病院を受診されることもあります。

診断

診断には問診、視診、触診が非常に重要です。ここで実際に唾液腺腫瘍の存在が疑われれば、超音波検査、MRI、CTなどの画像診断を実施し、腫瘍の存在の確認とともに、その広がり(周囲組織との関係)を詳しく調べます。さらに穿刺吸引細胞診といって腫瘍の一部に針を刺して腫瘍細胞を注射針の中に吸引し、その細胞を顕微鏡で見ることで組織型を推測する細胞診検査を行います。

しかし、唾液腺がんの最終的な病理組織型診断は手術で摘出された腫瘍に全部割をいれて薄切片を作り、詳細までくまなく顕微鏡で観察しないと得られません。

病期診断

下記のような病期分類によって病期診断が行われています。

T-原発腫瘍

T1最大径が2cm以下の腫瘍で実質外進展*なし
T2最大径が2cmをこえるが4cm以下の腫瘍で実質外進展*なし
T3最大径が4cmをこえる腫瘍、および/または実質外進展*を伴う腫瘍
T4a皮膚、下顎骨、外耳道、および/または顔面神経に浸潤する腫瘍
T4b頭蓋底、翼状突起に浸潤する腫瘍、および/または頸動脈に浸潤する腫瘍

*実質外進展とは、周囲の組織へ浸潤している場合や神経に浸潤しているものをいう。

治療法

唾液腺がんの治療の基本は手術であり、治癒するのに一番確実な方法です。手術ではとにかくがんに安全域をつけて完全に取りきることがきわめて重要です。また、病気の組織型や進行度に応じて、術後に放射線治療を要する場合もあります。手術前に肺、肝臓、皮膚、骨などの臓器に遠隔転移をきたしている場合などは手術以外の治療法が選択される場合があります。


手術

1.耳下腺がん
  • 耳下腺浅葉切除術
    耳下腺浅葉をがんと共に切除する方法です。
    大きさがあまり大きくなく浅葉に限局し、画像診断上も比較的おとなしいタイプと判断された例では、がんであっても施行される場合があります。また、この手術を施行する人の中には、術前は良性腫瘍の診断でも摘出した腫瘍の中に手術後初めてがん組織が見つかったというようなケースが見られることがあります。
  • 耳下腺全摘術
    耳下腺を全部摘出する方法です。
    術前にがんの診断がついていて、がんがある程度の大きさがあるもの、深葉や耳下腺全域に及んでいるようなもので選択されます。しかしがんが耳下腺の中に納まっていることが必要です。
  • 拡大耳下腺全摘術
    耳下腺外の周囲組織を一緒に合併切除する方法です。
    腫瘍近くの皮膚、周囲の筋肉、外耳道、耳介、場合によっては下あごの骨の一部や側頭骨の一部も一緒に切除されることがあります。この場合は、欠損部を埋めるためにお腹の筋肉や皮膚などを用いて顔面再建をおこないます。耳下腺外に進展したがんの手術として選択されます。
  • 顔面神経の対応について
    先にも触れましたが、耳下腺の中に顔面神経という神経が走っていてそれが耳下腺の中でいくつにも枝分かれしているために、がんの手術ではこの神経をどのように処理するかが問題となってきます。当科では以下の4点の原則に基づいて処理を決定しています。
    1. 手術前に顔面神経麻痺が既に見られている人では神経にがんが浸潤しているわけですから耳下腺内を走る神経の全部を切除します。
    2. 神経ががんと癒着している場合や、がんの中を貫通している場合には切除します。
    3. 神経とがんの間に肉眼的に正常な耳下腺組織が存在すれば基本的に神経を保存します。
    4. 神経が腫瘍と接しているような場合はがんの組織型を考慮して対応を決定します。

.顎下腺がん

顎下腺を全部摘出する方法で腺の中にがんがおさまっている場合に選択されます。一方、顎下腺全部ががんに置き換わって周囲と癒着している場合や、腺外の組織に明らかに浸潤しているような場合は、顎下腺を周囲の組織と共に切除します。皮膚や筋肉、神経、場合によってはあごの骨や口腔粘膜も切除されることがあり、この場合は腕の皮膚や足の皮膚などを用いて再建が必要になります。

3.舌下腺がん

基本的に口腔底がんの治療に準じた切除になります。

進行したがんの場合は、口腔底粘膜や舌、あごの骨の一部などが切除され、腕の皮膚や肩甲骨のついた皮膚、足の骨や皮膚が移植されることもあります。

再発の診断と治療

唾液腺がんにおける、再発時の診断は初回治療前の診断方法と同様であり、視診、触診や、顔面神経麻痺の有無などの問診、画像診断によって再発腫瘍の存在を確認し、周囲臓器との関係も調べます。穿刺吸引細胞診を行う場合もあります。手術治療が可能であれば手術が選択されます。再発様式や部位によっては、手術以外の治療が選択される場合もあります。

治療の副作用と対策

耳下腺がんの手術では顔面神経の取り扱いが重要です。当院では、治療前から顔面神経麻痺を認める場合や、がんによって顔面神経の切除が必要な場合には形成外科と連携して顔面神経麻痺の再建術を行います。

再建方法は、切除した顔面神経のかわりに体の他の部分より神経を移植する方法や、顔面神経麻痺のよって起こる顔貌の変化を直接再建していく方法があります。具体的には、①眉毛の下垂を、おでこの皮膚を縫合することによりを引き上げ、②閉眼の補助をするために、上まぶたの皮下に金のプレートを挿入し、③口角(くちびるの端)の下垂を足の筋膜などを用いて引き上げます。

悪性度分類と5年生存率

唾液腺がんは、がん細胞の形状や増え方で分類される組織型によって、低悪性度群・中悪性度群・高悪性度群の3つにわけられます。5年生存率はそれぞれの組織型で異なり、下表のとおりです。

低悪性度群
5年生存率:85%以上
粘表皮癌(低悪性度)
腺房細胞癌
多型腺癌
明細胞癌
基底細胞腺癌
導管内癌
腺癌NOS(低悪性度)
上皮筋上皮癌
多形腺腫由来癌(被膜内・微小浸潤型)
分泌癌
オンコサイト癌
唾液腺芽腫

中悪性度群
5年生存率:50~85%
粘表皮癌(中悪性度)
腺様囊胞癌(篩状・管状型)
脂腺腺癌
リンパ上皮癌
高悪性度群
5年生存率:50%以下
粘表皮癌(高悪性度)
腺様囊胞癌(充実型)
腺癌NOS(高悪性度)
唾液腺導管癌
筋上皮癌
多形腺腫由来癌(広範浸潤型)
癌肉腫
低分化癌
扁平上皮癌


《 ひいの邱・ながおの郷でお受け入れしている入居対象疾患 》

●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー 
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群  ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病  ●頸髄損傷  ●進行性核上皮麻痺  ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎 
●大脳皮質基底核変性症  ●脊髄小脳変性症  ●スモン  ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症  ●プリオン病  ●ライソゾーム病  ●人工呼吸器の方 
●気管カニューレの方

《 ひいの邱 》
形態:住宅型有料老人ホーム(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目9番15号

《 ながおの郷 》
形態:サービス付高齢者向け住宅(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目4番21号


《職員募集》
緩和ケアを一緒にしたい、想いのあるケアをしたい仲間を募集中!!
現在100名以上の職員が共に働いています。

【看護師】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)
②夜勤専従看護師:16時~翌10時 もしくは 18時~翌10時)(2時間休憩)


【介護士】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)
②夜勤専従看護師:16時~翌10時 もしくは 18時~翌10時)(2時間休憩)

【事務職】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)