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2024-05-02

多系統萎縮症について知る①

多系統萎縮症とは

多系統萎縮症の診断

 診断は病歴や神経症状の診察が重要ですが、小脳失調型や大脳基底核型はMRIで特徴的な異常がみられるため必ず行います。小脳失調型では小脳や脳幹の萎縮がみられ、脳幹に十字型の模様が現れたり、脳幹と小脳を結ぶ部位にも異常がみられます(図1、2)。

 大脳基底核型では、初期には脳幹や小脳の異常はみられませんが、大脳基底核とくに被殻とよばれる部位に特徴的な異常がみられます(図3)。大脳基底核型は初期にはパーキンソン病との区別がしばしば難しいですが、パーキンソン病で心臓の交感神経の働きが低下しMIBG心筋シンチという検査で異常が出るのに対して、多系統萎縮症では異常がでないことが知られています。


多系統萎縮症の治療

 この病気は進行性の疾患ですが、現在のところ、根本的に病気を治す、あるいは進行を遅くする治療はありません。大脳基底核型ではパーキンソン病と似たような症状がでるため、パーキンソン病で用いられる薬剤がある程度有効な場合があります。

利用者におすすめしているのは、定期的にきちんと病状を評価し、歩行訓練などのリハビリをしっかり行うことです。多系統萎縮症に限りませんが、神経疾患の多くはリハビリを継続することで、症状の悪化を遅らせることができます。またこの疾患では、喉仏にある声帯を動かす筋肉が麻痺してくることが多く、麻痺が悪化してくると窒息しますので、患者さんの同意のもと気管切開を行うこともあります。また嚥下が困難になった場合は胃瘻を造設し栄養状態の改善をはかる場合もあります。