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多系統萎縮症(MSA)について② がん難病緩和ケア専門施設(ホスピス)
福岡市でがん難病専門緩和ケア施設(ホスピス専門)の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。
今回は多系統萎縮症について書いていきます。今後もNICEでは多系統萎縮症患者様を積極的支援・お受入れしていきます。
1. 概要
多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA)は、中枢神経系の複数の部分が進行的に機能を失う神経変性疾患です。パーキンソン病のような運動障害や自律神経症状が特徴的であり、筋力低下、運動機能の障害、起立性低血圧、膀胱機能障害、さらには呼吸困難など多岐にわたる症状を引き起こします。MSAは極めて希少な疾患であり、進行が速く、患者の生活の質に大きな影響を与えます。
MSAは一般に、次の2つの主要なサブタイプに分けられます:
MSA-P型(パーキンソン型)
パーキンソン病に似た運動障害を呈するタイプです。筋肉の硬直、動作緩慢、歩行困難などが現れます。初期にはパーキンソン病と誤診されることがよくありますが、MSA特有の自律神経障害や他の症状が徐々に明確になることで区別されます。
MSA-C型(小脳型)
小脳の機能障害が中心となるタイプです。協調運動の障害(運動失調)、歩行不安定、発音障害(構音障害)、手足の震えなどが主な症状です。
2. 症状
MSAは多様な症状を引き起こし、患者ごとに現れ方が異なるため、診断が難しいことがしばしばあります。症状は大きく分けて以下の3つの領域に分けられます。
2.1 運動症状
MSA-P型の患者には、パーキンソン病の典型的な運動症状が現れます。これには、以下のような症状が含まれます。
動作緩慢(運動の遅れ):運動が全般的に鈍くなり、動きがぎこちなくなります。
筋肉の硬直:四肢や胴体の筋肉が硬くなり、身体の動きが制限されます。
静止時の震え:手足が安静にしているときに震える症状が見られることがありますが、MSAでは震えは必ずしも顕著ではありません。
歩行障害:歩く際に小刻みな歩幅になり、バランスを崩しやすくなります。
MSA-C型では、運動失調が主な症状で、身体のバランスや運動の調整が困難になります。特に次のような症状が見られます。
協調運動の障害:手や足の動きがスムーズにできなくなり、細かい動作や早い動作が難しくなります。
構音障害:発音が不明瞭になり、声が出しにくくなります。
書字障害:手の震えや筋肉の制御が難しくなるため、字を書くことが困難になります。
2.2 自律神経症状
自律神経系に異常をきたすことで、以下のような症状が見られます。
起立性低血圧:立ち上がった際に血圧が急激に低下し、めまいや失神が起こることがあります。
膀胱機能障害:尿が出にくくなったり、頻尿や失禁が起こることがあります。特に夜間頻尿はMSAの初期症状としてよく見られます。
便秘:腸の動きが鈍くなるため、便秘が慢性的に続くことがあります。
発汗や体温調節の障害:汗が出にくくなったり、逆に異常に多汗になることがあります。また、体温調節がうまくいかず、寒さや暑さを感じにくくなることもあります。
2.3 呼吸障害
進行すると、呼吸に関わる筋肉にも影響が及び、呼吸が困難になることがあります。特に、睡眠時無呼吸症候群や声帯の麻痺による呼吸困難がみられることがあり、これはMSAにおいて非常に深刻な合併症の一つです。
3. 診断
MSAの診断は臨床症状の観察に基づいて行われますが、その診断はしばしば困難です。特に初期段階では、MSAの症状がパーキンソン病や他の神経疾患と非常に似ているため、誤診されることがよくあります。診断には以下のような方法が用いられます。
3.1 神経学的検査
神経学的な評価により、運動機能、自律神経機能、小脳機能などを評価します。特に、小脳失調や自律神経症状が明確であれば、MSAの疑いが強まります。
3.2 画像診断
MRI(磁気共鳴画像)などの画像診断によって脳の変性を確認します。MSAでは、小脳、脳幹、基底核の萎縮が特徴的に現れることがあります。特に、MSA-C型では小脳や橋の萎縮が目立ちます。
3.3 自律神経機能検査
自律神経系に異常が見られる場合、血圧測定や心電図検査、汗腺機能検査などが行われます。特に、起立性低血圧の確認は重要な診断要素の一つです。
4. 原因
MSAの正確な原因はまだ解明されていませんが、脳の一部における異常なたんぱく質の蓄積が関与していると考えられています。特に、α-シヌクレインというたんぱく質が異常に蓄積し、それが神経細胞やグリア細胞に障害を引き起こすとされています。この蓄積は、神経細胞の機能不全や細胞死を引き起こし、結果としてMSAの症状が進行すると考えられます。
また、遺伝的要因が関与している可能性もあるものの、MSAは家族性疾患ではなく、遺伝的な関連性は限定的です。現在のところ、MSAの発症には遺伝と環境要因が複合的に関与していると考えられていますが、その詳細はまだ不明です。
5. 治療
MSAには根本的な治療法がなく、症状を緩和し、生活の質を向上させることが治療の主な目標となります。治療には、運動機能の維持、自律神経症状の管理、呼吸障害の治療などが含まれます。
5.1 薬物療法
パーキンソン病に用いられるレボドパ(L-dopa)などの薬剤が、MSAの運動症状に一部有効な場合がありますが、その効果は限定的です。また、自律神経症状に対しては、起立性低血圧を改善するための薬剤や、膀胱機能を調整する薬剤が使用されます。
5.2 リハビリテーション
運動機能をできる限り維持するために、理学療法や作業療法が重要です。バランス訓練や筋力強化を通じて、転倒のリスクを減らし、日常生活の自立をサポートします。また、発声や嚥下の障害がある場合、言語療法や嚥下訓練が行われることもあります。
5.3 呼吸管理
進行性の呼吸障害が見られる場合、人工呼吸器や持続的気道陽圧(CPAP)などの呼吸補助装置が使用されます。特に睡眠時無呼吸症候群の患者には、CPAPの使用が推奨されます。
5.4 緩和ケア
進行が早いため、MSA患者には早期から緩和ケアの導入が勧められます。緩和ケアは、症状のコントロールや患者・家族の精神的サポートを行うことを目的とし、医療チームと協力して患者の生活の質をできるだけ高く保つようにします。
6. 予後
MSAは進行性の疾患であり、発症後5年から10年以内に重度の障害が生じることが多いです。予後は個々の患者によって異なりますが、病気が進行すると、患者は最終的に日常生活を自力で送ることが難しくなり、全身の機能が衰退します。呼吸器合併症や感染症が直接の死因となることも多いです。
7. まとめ
多系統萎縮症(MSA)は、複数の神経系に影響を与える難治性の神経変性疾患です。原因は完全には解明されておらず、根治療法も存在しませんが、早期の診断と適切な対症療法が、患者の生活の質を改善する助けとなります。研究が進むことで、将来的にはMSAに対する効果的な治療法が見つかることが期待されています。
●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群 ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病 ●頸髄損傷 ●進行性核上皮麻痺 ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎
●大脳皮質基底核変性症 ●脊髄小脳変性症 ●スモン ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症 ●プリオン病 ●ライソゾーム病 ●人工呼吸器の方
●気管カニューレの方
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