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2024-06-04

子宮がんについて知る①

福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。

今回は子宮がんについて書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に子宮癌の利用者様をお受入れしていきます。

子宮がんの種類——子宮体がんと子宮頸がん

子宮とは筋肉でできた女性特有の臓器で、妊娠時に胎児を育てる器官です。上部の子宮体部と、下部の子宮頸部けいぶに分けられ、がんができる部位によって子宮体がん子宮頸がんと区別されます。

子宮体部は袋状になっており、卵管がその左右につながっています。子宮体がんはそのほとんどが子宮体部の内側にある粘膜の子宮内膜から発生するため、子宮内膜がんともいわれます。子宮の筋肉層からできる腫瘍しゅようは、良性のものを子宮筋腫、悪性のものを子宮肉腫といいますが、これらは子宮体がんとは異なる病気で、その発生頻度は子宮体がんよりも低いです。日本では年間およそ1万6千人が子宮体がんという診断を受けており、発症は40歳代で増加し始め、50~60歳代がもっとも多いとされています。

一方、子宮頸がんは子宮の入り口である子宮頸部から発生するがんで、子宮がんのうち約7割を占めています。発生する位置が子宮の入り口付近であることが多いため、婦人科の診察で発見されやすい傾向にあります。また、子宮頸がんの特徴として挙げられるのは、あるとき突然正常な組織からがんが発生するわけではなく、がんになる前段階を経るという点です。20歳代後半から増加し始め、発症のピークは40歳代といわれています。多くのがんが50歳代頃から増加し始めることを考えると、子宮体がん、子宮頸がんともに比較的若年の方にも発生しやすいがんだといえます。
一方、子宮頸がんは子宮の入り口である子宮頸部から発生するがんで、子宮がんのうち約7割を占めています。発生する位置が子宮の入り口付近であることが多いため、婦人科の診察で発見されやすい傾向にあります。また、子宮頸がんの特徴として挙げられるのは、あるとき突然正常な組織からがんが発生するわけではなく、がんになる前段階を経るという点です。20歳代後半から増加し始め、発症のピークは40歳代といわれています。多くのがんが50歳代頃から増加し始めることを考えると、子宮体がん、子宮頸がんともに比較的若年の方にも発生しやすいがんだといえます。

子宮体がんの発症原因

子宮体がんの発症原因は大きく分けて、エストロゲンといわれる女性ホルモンが関係している場合と、そうではない場合があります。

エストロゲンは子宮内膜の発育を促すはたらきを持つため、長期間にわたってエストロゲンの刺激が続くことで、子宮内膜増殖症という段階を経て子宮体がんが発生することがあります。エストロゲンが関係するといわれる原因として挙げられるのは、出産経験がないこと、月経不順閉経が遅いこと、肥満のほか、更年期障害の治療などで行われるエストロゲンのみによるホルモン療法などです。一方、エストロゲンの刺激とは無関係の原因として高血圧糖尿病が挙げられるほか、遺伝が関係するものとして、血縁者に大腸がん乳がんを発症した方がいる場合や、遺伝性腫瘍のリンチ症候群の方がいる場合などが挙げられます。また、子宮の病気のひとつである子宮内膜増殖症のうち、増殖した細胞が正常ではない子宮内膜異型増殖症を発症した患者さんは、子宮体がんが発生する可能性が高い(もしくはすでにがんが発生している)ということが判明しています。


子宮頸がんの発症原因

子宮頸がんを発症するほとんどの原因が、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染です。ヒトパピローマウイルスは性交渉により感染するもので、性交経験のある女性の5~8割は感染しているといわれるように、決して珍しいものではありません。ヒトパピローマウイルスに感染してもほとんどの場合、免疫によってウイルスが排除されます。ところが、1割程度の方はウイルスが排除されずに長期間感染した状態となります。このなかでもさらに自然治癒しない一部の方が、子宮頸がんや、その前段階(前がん病変)である子宮頸部異形成という状態になります。ヒトパピローマウイルスに感染してから子宮頸がんとなるまでには数年~10数年の期間を要すると考えられています。

特に子宮頸がんの発症リスクを高める要因としては、最初の性交渉を低年齢で行うこと、複数のパートナーとの性交渉、喫煙、免疫不全状態などが挙げられます。先進国においては、検診の効果もあり子宮頸がんの発生率は減少傾向にあります。その一方で、日本では最初の性交渉の低年齢化が進んでいることから、以前は40~50歳代だった発症のピークが30歳代後半~40歳代へと変化しています。

子宮体がんの症状

子宮体がんの自覚症状として、およそ9割もの方に現れるのが不正出血です。出血の程度によっては、おりものに血が混じる(褐色になる)程度の場合もあります。月経ではない時期や閉経後に出血が見られた場合には、医療機関(婦人科)の受診を検討しましょう。

そのほか、排尿時や性交時の痛み、排尿のしづらさ、下腹部の痛みといった症状が現れることがあり、進行すると、お腹の張りが生じる場合もあります。

子宮頸がんの症状

子宮頸がんの前段階である子宮頸部異形成の状態では、自覚症状が出ることはありません。また、子宮頸がんへと進行した際も、早期段階ではほとんど自覚症状がないといわれています。しかし、子宮頸がんが進行すると、異常なおりもの(のようなもしくは濃い茶色、粘性が強い、水っぽいなど)の増加、月経時期以外や性交時の出血、下腹部や腰の痛みなどが現れることがあります。子宮頸がんにおいても、気になる症状がある場合には、早急に婦人科を受診することを検討してください。


子宮体がんのステージ分類

子宮体がんが進行すると、初めは子宮体部内(粘膜のみ)に収まっていたがんが、徐々に子宮の筋肉の層に深く食い込みながら広がる、ほかの臓器に遠隔転移する、といったことが起こります。子宮がんの進行の程度を示すステージ分類は、がんの大きさだけでなく、がんがどの程度の深さまで食い込んでいるか、どこまで広がっているかといったことをふまえて判断します。

以下は、子宮体がんにおける大まかなステージ分類です。

子宮頸がんも、子宮体がんと同様にどの程度がんが広がっているか、食い込んでいるかという点をふまえて、Ⅰ~Ⅳ期の各ステージに分類されます。



ステージごとの5年生存率と早期発見の重要性

どのがんにおいても早期発見が重要ですが、子宮体がん子宮頸がんいずれも、ステージⅢまでに発見し治療を行った場合と、ステージⅣになった段階で発見し治療を行った場合では、生存率の差が顕著になります。子宮体がんと子宮頸がんのステージごとの5年相対生存率*は以下のとおりです。

【子宮体がんの患者さんのステージごとの5年相対生存率】

  • ステージⅠ:96.8%
  • ステージⅡ:91.7%
  • ステージⅢ:72.8%
  • ステージⅣ:22.3%

【子宮頸がんの患者さんのステージごとの5年相対生存率】

  • ステージⅠ:95.0%
  • ステージⅡ:79.6%
  • ステージⅢ:62.0%
  • ステージⅣ:25.0%

ステージⅠ~Ⅲの段階で発見することができれば、子宮体がん、子宮頸がんどちらの場合でも5年相対生存率は60%を超える一方で、ステージⅣとなると大幅に5年相対生存率が下がります。しかし、これは裏を返せばステージⅠ~Ⅲの間に発見できれば、十分治療が可能ながんであるということであり、早期発見の重要性がよく分かるデータではないでしょうか。

子宮がんを早期発見するための検診

では、子宮がんを早期発見するために、どのようなことができるのでしょうか。前ページでも解説したとおり、特に子宮頸がんに関しては、がんになる前段階(前がん病変)の状態がある、子宮の入り口に発生することが多いといった特徴から、きちんと検診を受けることで、より早期発見の可能性が高まるといえます。

子宮体がんの検診

現在のところ、国の指針として定められている検診はありませんが、一部の自治体では検診を行っている場合もあります。また、全額自己負担とはなりますが、人間ドックなどで検診を受けることも可能です(当院では実施していません)。

子宮体がんの検診を行う場合には、主に子宮内膜細胞診が実施されます。これは、子宮の内部に細い器具を挿入して子宮内膜の細胞を採取する検査です。この細胞診でがんの疑いが強いと判断された場合には、さらに別の器具を用いて子宮内膜の組織を採取して診断を行ないます。

しかし、高齢の方やお産経験がない方は子宮口が狭くなっており、子宮内部に器具を挿入することが難しい場合があります。そうしたときには、初めに子宮口を広げる処置を行う、麻酔をかけるといった方法で検査を行う、もしくは超音波検査を実施します。子宮体がんを発症すると、子宮内膜が厚くなることが多いため、超音波検査によって子宮内膜の厚さを測って判断します。しかし、閉経前では判断が難しい、初期のがんは検出しづらいという問題点があるため、やはりもっとも望ましいのは子宮内膜細胞診です。


子宮頸がんの検診

子宮頸がんの検診では、20歳以上の場合は検診費用を各自治体で負担*してもらうことができます。検診の内容は子宮頸部の細胞診と内診、問診、視診です。

細胞診では、子宮の入り口付近の頸部をへらやブラシでこすって子宮頸部の細胞を採取します。その細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞や前がん病変がないか確認します。

細胞診でがんの疑いがあった場合には、さらにコルポスコピー検査を行うことがあります。この検査は、コルポスコピーという拡大鏡を用いて子宮頸部を観察のうえ、異常が見られる部位の組織を採取するという流れで実施されます。

早期発見のために、たとえ出血などの自覚症状がない場合でも20歳を超えたら2年に一度は検診を受けるようにしましょう。

*負担額は各自治体によって異なります

子宮頸がんの予防

前ページ子宮頸がんの原因は、主にヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染であると解説しましたが、この感染を予防するHPVワクチンが開発され、現在、世界70か国以上で接種が行われています。HPVワクチンによって約60~70%程度の子宮頸がんを予防できるといわれており、日本でも定期接種化されています。そのため、公費助成による接種が可能です。しかし、ワクチンの接種後に接種部位に痛みや腫れなどをはじめとするさまざまな症状が現れることがあるという報告をうけ、各自治体からの積極的勧奨は差し控えられている状況です。ただ、この多様な症状の原因がワクチンであると完全に証明されたわけではないため、最終的にワクチンを接種するか否かは個人の判断にゆだねられています。いずれにせよ、ワクチンを接種することで得られる効果と起こり得る症状について十分に理解したうえで、ワクチンの接種についてしっかりと検討することが重要です。


早期発見のために定期検診を

子宮体がんは40歳代から、子宮頸がんは20歳代後半から増え始めるなど、子宮がんはほかのがんと比較すると、若年であっても発症しやすいといえます。特に20歳代では、自身ががんになるとは考えもしない、という方がほとんどではないでしょうか。しかし、若いうちから自分の健康に目を向け、定期的に検査を受けることは、子宮がんの早期発見につながります。

ステージごとの5年相対生存率からも分かるように、子宮がんは早期発見さえできれば、治る可能性の高いがんです。そのため、万が一子宮がんを発症した場合でも早期段階で発見し、治療を受けられるよう、定期的に検診を受けることをおすすめします。