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2024-06-13

白血病について知る ① 緩和ケア専門施設(ホスピス)

福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。

今回は白血病について書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に白血病の利用者様をお受入れしていきます。

白血病はいわゆる血液のがんで、白血球系細胞が無限に増加する病気です。白血球は主に血液中に存在し、体内に侵入した病原微生物を排除することによって感染症を防いでくれています。しかし白血球は単一の細胞ではなく、骨髄球系細胞(好中球、単球など)やリンパ球系細胞(Bリンパ球、Tリンパ球等)など形態や機能の異なる細胞の集合体です。ですからがん化した細胞の種類により、骨髄性白血病、リンパ性白血病などに分類されます。


また白血病細胞の増殖が非常に速い急性白血病と増殖が遅い慢性白血病に分類されます。これらの分類法を用いると、白血病は①:急性骨髄性白血病、②:慢性骨髄性白血病、③:急性リンパ性白血病、④:慢性リンパ性白血病の4種類の病型があることになります。



急性白血病の白血病細胞は分化・成熟能力を失った未熟な細胞であり、未分化なまま骨髄内で分裂を繰り返します。骨髄内で白血病細胞が増加すると骨髄で正常の白血球、赤血球、血小板の産生が低下し、これらの血球が減少してきます。その後骨髄から白血病細胞が末梢血に出現し、血液検査でも白血病細胞が確認される状態になります。


1)急性骨髄性白血病とは

血液の中にある赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といいます。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血ぞうけつかん細胞さいぼうからつくられます(図1)。

急性骨髄性白血病は、骨髄芽球(白血球になる前の未熟な細胞)に異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が主に骨髄で無制限に増える病気です。

急性骨髄性白血病は、原因となる遺伝子が判明しているさまざまな種類があります。中でも、前骨髄球(骨髄芽球からさらに分化した細胞)に異常が起こるものがあります


症状

白血病細胞が骨髄で増加することにより正常な血液細胞がつくられなくなり、赤血球、血小板、白血球が減少します。そのため、貧血の症状として息切れや動悸どうき、血小板が少なくなるために鼻血や歯ぐきからの出血、発熱などの症状があらわれます。頭痛や関節痛などの症状があらわれることもあります。また正常な白血球が減少するために感染しやすい状態になることもあります。

急性骨髄性白血病は進行が速いため、多くの場合、急に症状があらわれます。速やかな診断と治療の開始が重要です。


治療

初回の化学療法を寛解導入療法と呼びますが、この治療を行った後に地固め療法を行います。遺伝子検査などで予後不良とされる65歳以下の患者さんに対しては、化学療法で白血病細胞をできるだけ減少させたのちに、同種造血幹細胞移植を行います。

急性骨髄性白血病もいくつかに分類されますが、急性前骨髄性急性白血病(M3)は非常に特徴的で、レチノイン酸(ビタミンAの誘導体)やヒ素が有効であり、実臨床でも使用され治癒を期待できる症例が増加しています。再発したAML患者さんに対しては、CD33という抗原が白血病細胞の表面に存在する場合は、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33に対する抗体と抗がん剤であるカリケアマイシンを結合させた薬剤)も使用可能です。65歳以下の再発した患者さんに対しては、積極的に同種造血幹細胞移植を行います。


2)急性リンパ性白血病(急性リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫)とは

血液の中にある赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といいます。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血ぞうけつかん細胞さいぼうからつくられます(図1)。

急性リンパ性白血病は、白血球の一種であるリンパ球になる前の細胞ががん化し白血病細胞となって増殖する病気です。急性リンパ性白血病の細胞は、脳や脊髄せきずいなどの中枢神経に浸潤しんじゅんしやすいことが知られています。

急性リンパ性白血病ではさまざまながん遺伝子が見つかっていますが、そのなかでも治療に直結するものとして、フィラデルフィア染色体(BCR-ABL1融合遺伝子)があります。

同じリンパ球ががん化した病気の1つに、リンパ芽球性リンパ腫がありますが、これは急性リンパ性白血病と同じ種類のがんと考えられており、これらをあわせて急性リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫とすることもあります。白血病細胞が主に骨髄で増殖する場合は急性リンパ芽球性白血病、主にリンパ節など骨髄以外で増殖する場合はリンパ芽球性リンパ腫としています。

症状

白血病細胞が増加することによって、正常な血液細胞がつくられなくなり、赤血球、白血球、血小板が減少します。そのため、貧血の症状として息切れや動悸どうきがしたり、血小板が少なくなるため、鼻血が出たり歯ぐきから出血したりすることがあります。倦怠感けんたいかんや発熱などの症状があらわれることもあります。

白血病細胞が臓器に浸潤すると、関節が痛くなったりリンパ節がれたりすることがあります。脳や脊髄などの中枢神経に浸潤すると、頭痛や吐き気が起こることもあります。

治療


ALLはB細胞系とT細胞系に分かれますが、同じ治療が行われます。フィラデルフィア染色体がある症例は、化学療法にイマチニブを併用した治療が選択されます。以前はフィラデルフィア陽性のALLは非常に予後不良でしたが、イマチニブを併用するようになってから、予後が改善しています。フィラデルフィア染色体がない症例では、若年者には小児プロトコール、非若年者には成人用の化学療法を行います。65歳以下の予後不良例には、再発する前に同種造血幹細胞移植を検討します。

初回治療で同種移植を行わなかった症例も、再発時に65歳以下であれば同種移植を検討します。再発した患者には化学療法を行いますが、CD19という抗原が陽性である患者にはCD19とTリンパ球に発現しているCD3どちらにも結合できる抗体(二重特異性T細胞誘導抗体、ビーリンサイト)を使用することもあります。また、腫瘍細胞がCD22を発現している場合は、抗体薬物複合体(抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22モノクローナル抗体、イノツズマブ-オゾガマイシン)を使用する場合もあります。



3)慢性骨髄性白血病とは

血液の中にある赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といいます。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血ぞうけつかん細胞さいぼうからつくられます(図1)。

慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞に異常が起こり、白血球や赤血球、血小板の数が無制限に増える病気(骨髄増殖性腫瘍)の1つです。血管を流れる血液(末梢血まっしょうけつ)中の白血球の数が通常よりも増えることや、フィラデルフィア染色体(BCR-ABL1融合遺伝子)があることが主な特徴です。

BCR-ABL1融合遺伝子によりつくられるBCR-ABL1チロシンキナーゼと呼ばれるタンパク質が常に活性化し、がん化した細胞(白血病細胞)が増えることによって起こる病気です。

慢性骨髄性白血病は、慢性期、移行期、急性転化期へと進行します。慢性期は白血球や血小板が増えるのみで、ほとんど症状がありません。移行期には全身に症状があらわれ始め、急性転化期には急性白血病に似た状態になります。


症状

慢性骨髄性白血病はゆっくりと進行し、増えた白血球もほぼ正常な働きをするため、慢性期と呼ばれる初期の段階ではほとんど症状がありません。

病気が進行し、移行期や急性転化期になると、正常な血液細胞がつくられなくなります。そのため、貧血の症状として息切れや動悸どうきがしたり、血小板が少なくなるため、鼻血が出たり歯ぐきから出血したりすることがあります。倦怠感けんたいかんや発熱などの症状があらわれることもあります。脾臓ひぞうが大きくなるため、おなかに張りを感じることもあります。


治療

慢性骨髄性白血病では、分子標的薬を内服する治療が行われます。進行期には、細胞障害性抗がん薬を併用する治療や、造血幹細胞移植が行われることもあります


検査

血液・リンパのがんでは、ほとんどの場合、診断や病型を確定するために骨髄検査(骨髄穿刺せんし・骨髄生検)を受けます。骨髄検査は、皮膚を消毒し局所麻酔をした後に、一般的には腸骨(腰の骨)に針を刺して、骨髄組織を採る検査です。

なお、急性骨髄性白血病の場合は、診断や治療で使う薬の選択、治療の効果を判定するなどの目的で、染色体検査やがん遺伝子検査が行われます。

慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)

慢性リンパ性白血病(CLL)と小リンパ球性リンパ腫(SLL)は、白血球の1つであるリンパ球のうち、成熟した小型のB細胞系リンパ球が病的な細胞のかたまり(腫瘍)になり、増殖していく白血病です。腫瘍細胞が主に血液中や骨髄内に確認されるときは『慢性リンパ性白血病』、主にリンパ節で確認されるときは『小リンパ球性リンパ腫』と区別されていますが、腫瘍となっている細胞は同じものです。白血病の中では症状や進行が一番おだやかで、初期にはリンパ節のみで腫瘍が増殖し、骨髄内の血球には影響しないため、ほとんど症状がおこりません。病気が進行すると赤血球・白血球・血小板の減少がおこり治療が必要になりますが、経過観察のままで寿命を全うする場合もあります。

この白血病は欧米人では比較的多く発症するのに対し、日本も含めたアジア人種には珍しいタイプの白血病で、日本での発症率は1年間で10万人に0.3人前後です。

60歳代以降の中高年が中心で、1.5倍~2倍男性の患者さんが多いのが特徴です。

慢性リンパ性白血病(CLL:Chronic Lymphocytic Leukemia)

腫瘍細胞は成熟した小型のBリンパ球であることがほとんどで、表面に細胞表面マーカーのCD5とCD23という分子があることが特徴で、血液内や骨髄の他、脾臓(ひぞう)、肝臓、リンパ節などのリンパ組織で増殖します。

日本での発症頻度は少なく、発症率は1年間で10万人に0.3人前後です。

60代以降の中高年に多く発症し、30歳未満ではごく稀です。女性より男性に多く、男性の患者さんは女性の1.5~2倍程度とされています。

この白血病は発症に人種差があり、欧米などでは多く確認されています。

小リンパ球性リンパ腫(SLL:Small Lymphocytic Lymphoma)

がん化した細胞は慢性リンパ性白血病と同じものですが、病期や治療は濾胞性リンパ腫やMALTリンパ腫など、悪性度の低いB細胞系リンパ腫と同じと考えられています。

進行は非常にゆっくりで、初期にはリンパ節でのみ腫瘍が増殖します。

病気が進行し、症状が現れたときには化学療法による治療を行いますが、しばらくの間は慎重に経過観察をしながら見守ります。

この白血病は発症しても進行がとてもゆっくりなので、初期にはほとんど症状が現れませんが、多くは痛みをともなわないリンパ節の腫れがみられます。

リンパ節は首、脇の下、付け根(鼠径部)などに多いので、これらの部位にしこりや腫れぼったい感じが出て増大していき、腫れがひくことがありません。リンパ節の腫れは、約80%の患者さんで確認されます。

病気が進行すると、

  • 体が疲れやすい、だるい(倦怠感)
  • 食欲が低下する
  • 体重減少
  • 寝汗
  • 微熱
  • 脾臓や肝臓の腫れ(腹部の張りや違和感)

などの症状が現れることがあります。さらに進行して骨髄内の腫瘍細胞の数が増えると、他の正常な血球細胞(赤血球・白血球・血小板)が減少し、

  • 貧血(赤血球減少)
  • 出血しやすくなる(血小板減少)
  • 感染しやすくなる(正常白血球の減少)

などがおこります。

とくに慢性リンパ性白血病では貧血がおこりやすく、自己免疫性溶血性貧血による重度の貧血が合併することがあるので注意が必要です。


慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の診断

慢性リンパ性白血病(CLL)

  • 血液中の腫瘍細胞であるリンパ球の数が5,000/μL以上
  • 血液中のリンパ球の数が5,000/μL未満でも、腫瘍細胞が骨髄に浸潤し、赤血球・白血球・血小板の減少がある

小リンパ球性リンパ腫(SLL)

  • 血液中のリンパ球の数は5,000/μL未満
  • 血液中の赤血球・白血球・血小板の減少はない
  • がん化したリンパ球は主にリンパ節で確認される
  • リンパ節が腫れている

慢性リンパ性白血病の原因

この白血病の原因は、十分には解明されていません。

欧米人に多くアジア人ではまれであることから、環境的な因子より遺伝的な素因にかかわって発症するのではないかと考えられています。すべての白血病の中で、もっとも遺伝的要素の高いタイプとされています。

慢性リンパ性白血病の予後

慢性リンパ性白血病は、白血病の中でもとくに予後が良好なタイプで、経過観察のまま未治療で寿命を全うできる患者さんもいます。しかしながら、病気が進行したときには血球が減少し、感染症や自己免疫疾患などを合併することがあるため、定期的な通院で検査を行っていくことが大切です。


慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療

慢性リンパ性白血病は、完全な治癒は難しいものの、病気をコントロールしながら長期生存が可能な白血病です。

一部の若年者では、高齢者の患者さんでは、症状の緩和や病状のコントロールを目的とした治療が主です。治療では、抗がん剤や分子標的薬の単剤か、多剤併用療法を状態によって選択します17番染色体短腕の欠失(染色体17p)が確認される場合や、薬による治療効果が得られず予後不良と考えられる場合には、造血幹細胞移植が検討されることもあります。この白血病は進行がゆっくりのため、慎重に経過観察を行いながら治療開始のタイミングをはかります。大きなリンパ節の腫脹・貧血・血小板減少などが発現してきたら、治療を開始します。


低リスク

早期からの治療を行っても生存期間は延長しないため、慎重な経過観察を行います。

中間リスク

病気の進行はまだゆっくりであるため、慎重な経過観察を行います。


高リスク

治療の対象となる時期です。発熱・寝汗・体重減少などの全身症状、大きなリンパ節腫脹や肝臓・脾臓(ひぞう)の腫大、貧血や血小板減少といった症状が治療の開始基準となります。

70歳未満で全身状態に問題がなければ、多剤併用療法を行います。抗がん剤によるFC療法などが行われます。フルダラビン(商品名:フルダラ)+シクロホスファミド(商品名:エンドキサン)による治療です。そのほか、分子標的薬のリツキシマブ(商品名:リツキサン)を組み合わせた治療が一般的です。全身状態によっては、上記の薬の単剤での投与や、減量して投与をします。自己免疫性溶血性貧血や血小板減少の症状がある場合は、副腎皮質ステロイドの投与も行います。リンパ節の腫脹へは、放射線治療が行われることもあります。抗がん剤を使った治療では、開始当日から治療後数か月頃まで様々な副作用が起こりますが、治療と併用して副作用へはできる限りの対策を行います。

分子標的治療

通常の治療では、がん細胞の増殖に関わる分子に限って効果を発揮する『分子標的薬』を使用します。抗がん剤と組み合わせ、点滴や内服で投与します。この白血病で使用される代表的な分子標的薬はリツキシマブという薬で、リンパB細胞の表面にある『CD20』という分子を標的とした薬です。CD20は細胞の増殖や活性に関わる因子で、がん化したB細胞に多く出現します。リツキシマブはこのCD20の働きを抑え、がん細胞が増殖しないようにします。再発や難治性の場合は、同じく『CD20』を標的として働きの異なるファツムマブ(商品名:ケシンプタ)などが使われます。『CD52』を標的としたアレムツズマブ(商品名:マブキャンパス)が選択されることもあります。アレムツズマブは予後不良と予測されるケースにも高い治療効果が期待されています。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、提供者(ドナー)から採取した健全な造血幹細胞を投与する治療法です。薬だけでは治療が困難で、造血幹細胞移植を行うことで予後が改善されると考えられるときに検討されます。

負担も大きい治療でドナーの必要性もあることから、年齢、全身状態、ドナーの有無など様々な点を考慮して慎重に選択されます。


《 ひいの邱・ながおの郷でお受け入れしている入居対象疾患 》

●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー 
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群  ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病  ●頸髄損傷  ●進行性核上皮麻痺  ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎 
●大脳皮質基底核変性症  ●脊髄小脳変性症  ●スモン  ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症  ●プリオン病  ●ライソゾーム病  ●人工呼吸器の方 
●気管カニューレの方

《 がん・難病専緩和ケア専門施設 ひいの邱 》
形態:住宅型有料老人ホーム(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目9番15号

《 がん・難病緩和ケア専門施設 ながおの郷 》
形態:サービス付高齢者向け住宅(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目4番21号