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2024-06-02

肺がんについて知る①

福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。

今回は肺がんについて書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に肺がんの利用者様をお受入れしていきます。

肺がんとは

肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れなどにのって転移することもあります。転移しやすい場所はリンパ節や、肺の中のほかの部位、胸膜、骨、脳、肝臓、副腎です。

がんの種類(組織型)について

肺がんの主な組織型(がんの種類)は、腺がん、扁平へんぺい上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4つです(表1)。腺がんが最も多く半数以上を占め、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの順に続きます。なお、腺がんは肺腺がんと呼ばれることもあります。

肺がんの治療法は、組織型が小細胞がんの場合とそれ以外の場合とで大きく異なります。このため、肺がんを「小細胞肺がん」「非小細胞肺がん」に大きく分けて扱います(表1)。「非小細胞肺がん」には、腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんなどの組織型の肺がんが含まれます。

表1 主な肺がんの組織型とその特徴

組織分類多く発生する場所特徴
非小細胞
肺がん
腺がん肺野・肺がんの中で最も多い
扁平上皮がん肺門
(肺野部の発生頻度も
高くなってきている)
・咳や血痰けったんなどの症状があらわれやすい
・喫煙との関連が大きい
大細胞がん肺野・増殖が速い
小細胞
肺がん
小細胞がん肺門・肺野
ともに発生する
・増殖が速い
・転移しやすい
・喫煙との関連が大きい

いずれの組織型のがんでも発生要因の1つに喫煙があります。中でも、扁平上皮がんや小細胞がんは喫煙との関連が大きいがんですが、喫煙をしていない人でも肺がんになることもあります。

症状

早期には症状が見られないことも多く、進行して初めて症状が出ることもあります。主な症状としては、咳や痰、血痰(痰に血が混じる)、胸の痛み、動いたときの息苦しさや動悸どうき、発熱などがあげられます。

しかし、いずれも肺炎や気管支炎などの呼吸器の病気にも共通する症状で、「この症状があれば必ず肺がん」という症状はありません。また、このような症状がないまま進行し、医療機関での定期的な検診や、ほかの病気の検査で偶然見つかることもあります。なお、脳や骨などに転移すると、頭痛やふらつき、背中や肩の痛みなどの症状が出ることもあります。

肺がん 検査

健康診断や検診、または症状があって受診した際には、多くの場合胸部X線検査が行われます。肺がんが疑われた場合には、胸部CT検査が行われます。異常が見つかった場合には、肺がんが疑われる部位から細胞や組織を採取する病理検査を行います。これによりがんかどうか、がんの場合はどのような種類のがんであるかを調べ、診断を確定します。

細胞や組織を採取するために最も多く行われているのは気管支鏡きかんしきょう検査ですが、状況によっては経皮的けいひてきはり生検せいけん胸腔きょうくうきょう検査などを行うこともあります。胸部CT検査で見つかった病変が小さく、病理検査が難しい場合には、経過観察になることもあります。

また、がんの病期や広がりを調べるために、胸腹部の造影CT検査や脳のMRI検査、PET検査、骨シンチグラフィなどを行います。

1.胸部X線検査

いわゆるレントゲン検査のことです。肺にがんを疑う影がないか調べるために、胸部全体にX線を照射して撮影します。簡便で広く普及した検査で、健康診断やがん検診でも用いられています。


2.喀痰かくたん細胞診

痰の中にがん細胞が含まれていないかを調べる検査です。検診でも実施することがあります。胸部X線検査では見つけにくい肺門部のがんを見つけることができる可能性があり、喫煙量が多いなど、肺がんのリスクが高い人に行うことがあります。1回だけの検査ではがん細胞を発見しにくいため、数日分の痰を採取して検査します。がんの部位や大きさによっては、がん細胞を発見することが難しいといわれています。

3.CT検査

肺にがんを疑う病変がないか調べる画像診断法としては、今のところ最も有力な方法です(図2)。胸部X線検査などで異常が認められた場合に行い、がんを疑う病変の大きさや場所、リンパ節や腹部などのほかの臓器に転移していないかなどを調べます。体の周囲からX線を当てて、体の断面を画像にします。さらに詳しく、リンパ節の腫れの程度などを調べるために造影剤を使ったCT検査を行うことがあります。

4.気管支鏡検査・生検

直径3~6mmほどの細くしなやかな内視鏡を、鼻や口から挿入し、気管支の中を観察して行う検査です。X線透視装置や超音波検査で病変の位置を確認しながら、がんが疑われる部位の細胞や組織を採取します(図3)。一般には点滴注射での痛み止めや眠くなる薬を使用しますが、スプレー状の薬を用いてのどや気管に部分的な麻酔を行うこともあります。組織採取によって肺や気管支内の出血、胸腔内の空気漏れ(気胸ききょう)などの合併症を起こす可能性があります。

気管支鏡の届きにくい場所に腫瘍がある場合などは、がんかどうかの確実な診断が得られない場合があります。つまり、検査でがん細胞が検出されなくてもその病変が「がんではない」と言い切れないことがあります。

5.経皮的針生検

がんが疑われる箇所まで気管支鏡が届かない場合や、気管支鏡検査で診断がつかない場合などに行います。局所麻酔を使用して体表から細い針を刺して、超音波(エコー)やX線、CTで位置を確認しながら病変のある肺の細胞や組織を採取します。気胸などの合併症を起こす可能性がある検査のため、行えるかどうかは体の状態を見ながら検討します。


6.胸腔鏡検査

胸部を小さく切開して、内視鏡を肋骨ろっこつの間から胸腔内に挿入し、肺や胸膜、リンパ節の組織を採取して調べる検査です。従来は全身麻酔をした状態で行ってきましたが、近年では局所麻酔のみで行うこともあります。


7.がん遺伝子検査

非小細胞肺がんで薬物療法が検討される場合に、がん細胞の発生や増殖に関わるがん遺伝子に異常があるかを調べる検査です。医師が必要と判断した場合には保険診療で行われています。非小細胞肺がんにおいては、生検で採取した組織や胸水などに含まれるがん細胞を用いて、EGFR遺伝子、ALK遺伝子、ROS1遺伝子、BRAF遺伝子、MET遺伝子、RET遺伝子、NTRK遺伝子、KRAS遺伝子、HER2遺伝子について異常がないかを調べます。これらの遺伝子に異常のあることが分かった場合には、それぞれに応じた分子標的薬による治療を検討します。