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脊髄小脳変性症について知る①
福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。
今回は神経難病の中でもよく耳にする脊髄小脳変性症について書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に脊髄小脳変性症の利用者様をお受入れしていきます。
脊髄小脳変性症は、主に小脳の神経細胞の変性により、「歩行時にふらつく」、「ろれつがまわらず話しづらい」、「不規則に手がふるえ目的の物をつかみづらい」などの症状をきたす病気の総称です。
原因は様々ですが、遺伝性と非遺伝性(孤発性)に大別され、日本全国で3万人を超える患者さんがいらっしゃると推定されています。約7割が遺伝歴のない孤発性で、別項の多系統萎縮症が大多数を占めます。残りの約3割が遺伝性の脊髄小脳変性症で、その多くが親子で伝わる優性遺伝形式をとる病気ですが、ご兄弟姉妹でのみ発症する劣性遺伝形式をとる病気も少数ながら知られています。
成人の遺伝性脊髄小脳変性症の多くは、原因となる遺伝子と、その異常が判明し、それぞれ遺伝子別に番号がついています。日本では、いずれも優性遺伝形式の、マシャド・ジョセフ病(MJD/SCA3)、SCA6、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)が多くみられます。
脊髄小脳変性症の症状
主な症状としては、歩行時にふらつく、手がうまく使えない、口や舌がもつれて話しづらいなどの、小脳の症状である「運動失調症状」をきたします。大人になってから発症する場合は基本的に、それらの症状は非常にゆっくりと進みます。その他、それぞれの病気で、運動失調症状以外にも様々な症状を伴います。
小脳の機能が損なわれると
小脳の重要な機能は、知覚と運動機能を調整することです。歩行などの際に必要となる平衡感覚や、腕の振りや足の運びなど、筋肉の細かなコントロールなどを司っています。
よって小脳が損傷すると、意識や知覚には異常がないのに通常の歩行が困難になりふらふらしたり、シャツのボタンをはめる、文字を書くなどの精密な動作が困難になります。目まいや頭痛を訴えたり、非常に稀ではありますが、発言や行動、性格が変化してしまうケースも報告されています。
脊髄小脳変性症の診断
症状や診察所見の他に、同じような症状のご家族・ご親戚がいらっしゃるか家族歴を確認させていただくことが重要です。頭部MRIでは、小脳の萎縮がみられます。
遺伝性か非遺伝性か区別が難しい場合や、遺伝性脊髄小脳変性症の正確な病型診断のためには、遺伝子検査が必要となります。ただし、本症の遺伝子検査は保険適用になっていないので、一部実費負担が必要となる場合があります。もしも陽性と診断された場合、次の世代へ遺伝する可能性があり、お子さんを産むかどうか困ってしまう方も多くいらっしゃいます。
多くの脊髄小脳変性症で病気の原因となる遺伝子が判明し、様々な研究が進められています。病気の進行を止める根本的な治療薬は、残念ながら今のところまだありませんが、今後さらに研究が進み、有効性のある根本的治療薬が開発されることが期待されています。
現時点では、お困りになっている症状をやわらげる対症療法が広く用いられています。運動失調症状に対して、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)製剤のプロチレリン酒石酸塩(注射薬)、TRH誘導体であるタルチレリン水和物(内服薬)が使われています。これらは、甲状腺ホルモンの分泌を促し、身体の活動を高め神経系の働きを活発にして、症状を改善する作用があると考えられています。また、めまいや足の突っ張りなどの症状に応じて、お薬で治療します。
日常生活では、転倒に十分にご注意いただくことが重要です。ご自宅の廊下・お風呂・トイレなど、頻繁に移動する場所には、手すりを設置するなど、転倒のリスクを少なくすることが大事です。病気によっては、飲みこむ機能が障害されてしまう場合があります(嚥下機能障害)。
細かくきざむ、とろみをつけるなど、飲みこみやすい形態にすること、口腔内のケアをすることが重要です。もしも食事の際のむせこみに気がついたら、嚥下機能の検査を早めにお受けすることをおすすめいたします。
運動失調などの症状をやわらげ、身体機能の低下を防ぐために、薬物療法と並行してリハビリテーションを行うことも重要です。脊髄小脳変性症においては、短期集中的なリハビリテーションの有用性も報告されています。一定期間、バランス訓練、歩行訓練、手の細かな動作の訓練、言語訓練を集中的に行うことで、比較的長期間に渡り効果が持続することが知られています。
特に日々の生活では転倒防止を最大限注意しながら生活をしていく必要があります。
NICEではリハビリと生活の中でのケアを重視しながらADL低下、QOL低下につながらない様に難病緩和ケアを実践していきます。