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腎細胞がんについて知る① 緩和ケア専門施設(ホスピス)
福岡市でがん難病専門緩和ケア施設の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。
今回は腎細胞がんについて書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に腎細胞癌の利用者様をお受入れしていきます。
腎細胞がんの罹患率と生存率
日本において、腎細胞がんと診断された患者数は、2019年の報告で年21,347例であり、男性の方が多く発症する傾向にあります。
腎がん(腎盂がんを除く)の病期毎の5年ネットサバイバルは、I期:95.0%、II期:87.6%、III期:77.5%、IV期:18.5%と報告されています。
腎臓がんの原因
腎臓がんの危険因子としては、肥満、喫煙、高血圧などが挙げられます。また、長期的に透析療法を受けていることも、腎臓がんと関連していると言われています。
更に、遺伝子の変異によって発症することが知られているフォン・ヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau:VHL)病も原因のひとつと考えられています。
腎臓がんの症状
腎臓がんは、早期では無症状で進行することが多いがんです。進行すると、古典的三徴とも呼ばれる血尿、腰や背中の痛み、腹部のしこりなどが見られるようになります。また、足のむくみや吐き気、便秘やお腹の痛みなども生じることがあります。
更に、発熱や倦怠感などの全身症状や、他の臓器への転移に伴う症状(例:肺転移の場合には咳や血痰、骨転移の場合には骨折や骨の痛み、など)を伴う場合もあります。
腎臓がんの予後
がんが腎臓内にとどまっている場合には比較的予後は良好ですが、がんが周囲や他の臓器に広がっている場合には、急激に予後が悪化するため、定期的な検診などによる早期発見が重要です。
また腎臓がんは、手術後5-10年経過しても再発を起こすことがあるため、長期的な経過観察も必要です。
腎細胞がんの検査
これまでのところ、腎細胞がんの診断に有効な腫瘍マーカーは見つかっておらず、超音波検査と画像診断を組み合わせて検査をします。
超音波検査(エコー検査)
身体の表面から超音波をあてて、跳ね返ってくる超音波を画像化することで、臓器の形状やがんの位置を調べるための検査です。
画像診断検査(CT/MRI検査)
腎臓がんの確定診断には、画像検査を使います。
造影CTはX線を使って体の断面を画像化する検査で、より病変部位を分かりやすくするために造影剤を使って詳しく検査をすることが一般的です。
一方MRI検査は、強い静磁場と電磁波を使って体の断面を画像化する検査です。CTのみでは診断がつかない場合や、腎障害やアレルギーなどの理由で造影剤が使えない症例に対して使われます。
病理学的検査
画像診断などの検査を実施後に更に細かい検査が必要な場合には、細い針を刺してがん組織の一部を取り、顕微鏡で観察します(針生検)。
骨シンチグラフィ
骨に転移している確率が高い場合に実施する検査です。異常な骨に集積する薬を静脈注射し、X線を使って撮影します。
腎細胞がんの診断と病期分類
腎臓がんの病期は、T(原発巣の大きさや広がり)、N(領域リンパ節への転移の有無)、M(がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移の有無)の3つのカテゴリーの組み合わせで判断します(TNM分類)。

腎細胞がんの種類
腎細胞がんは、採取したがん組織を顕微鏡で観察することで、いくつかの組織型に細分化されます。
最も多いのが淡明細胞型腎細胞がんで、全体の70-80%を占めています。
その他、乳頭状腎細胞がん(10-15%)や嫌色素性腎がん(約5%)など、複数の組織型に分類されます。
腎細胞がんの主な組織型
淡明細胞型腎細胞がん
乳頭状腎細胞がん
嫌色素性腎細胞がん
集合管がん(ベリニ管がん)
粘液管状紡錘細胞がん
転座型腎細胞がん
後天性囊胞腎随伴腎細胞がん
淡明細胞乳頭状腎細胞がん
腎細胞がんの治療の決め方
腎臓がんは、放射線療法や殺細胞性抗がん剤に対する感受性が低いため、手術が治療の基本となります。
手術が難しい症例や、遠隔転移のある場合に対しては、全身療法として分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、サイトカイン療法が使われます。
腎細胞がんの手術
腎細胞がんでは、腎摘除術が一般的ですが、比較的早期に発見された場合には、腎部分切除術も検討されます。
また術式としては、おなかを開けて行う「開腹手術」と、おなかに小さな穴を開けて腹腔鏡を入れて行う「腹腔鏡手術(後腹膜鏡手術)」、更に腎部分切除術では「ロボット支援手術」も選択肢となっています。術式は、がんや患者さんの体調などを見て総合的に判断します。
腎部分切除術(腎機能温存手術)
がんが広がっている部分だけを切除し、残った腎臓の機能を温存する方法です。主にがんが腎臓内にとどまっており、大きさが比較的小さい(4cm以下)の場合に適応となりますが、がんの位置などによっては部分切除が難しい場合もあります。
腎摘除術(根治的腎摘除術)
がんが生じている側の腎臓をすべて切除する方法です。腎部分切除術ではがんを取り切ることが難しい場合に選択肢となります。がんの位置や副腎への転移の状況によって、腎臓の頭側にある副腎まで切除するかどうかを判断します。また、がんの広がり方によっては、腎臓だけでなく、周囲の臓器や血管内にあるがんを併せて切除することもあります(静脈内腫瘍塞栓摘除術)。
腎摘除術は、片側の腎臓をすべて取り除くことになりますが、もう片方の腎臓が正常に働いていれば、ほとんど生活に支障を来すことはありません。
手術による合併症として、縫い合わせた部分から出血を起こすことがあり、動脈塞栓術、または開腹による再度の縫い合わせにより対処します。また、尿漏れが起きることもあり、カテーテルによって様子を見ますが、回復しないようであれば腎摘除術を検討することになります。
腎細胞がんの凍結療法
体外からがんに針を刺し、超音波検査や画像検査で確認しながらアルゴンガスでがん組織を凍結させ死滅させる方法です。がんが小さい場合の局所治療のひとつで、高齢者や合併症のある場合、あるいは手術を希望しない場合に選択肢となります。
腎細胞がんのラジオ波焼灼術(RFA)
腎臓がんのある場所に皮膚表面から電極を刺入し、高周波電流で腫瘍組織を焼灼凝固する治療です。腫瘍径が4cm以下の腎臓がんを小径腎がんと呼ばれ、小径腎がんの中でも1~3cm以下で、転移や脈管侵襲のない腎臓がんでは、RFAが良い適応とされています。一方、2011年に凍結療法が保険収載となってからは、凍結療法が施行される割合が高くなっています。
腎細胞がんの薬物療法
薬物療法は、手術のみではがんを取り除くことができない場合に選択されます。
分子標的薬
がん細胞の増殖に必要な特定のタンパク質を標的として、選択的にがんの増殖を抑える働きがあります。腎細胞がんでは二種類の薬が使われます。
ひとつはチロシンキナーゼ阻害剤で、増殖に必要なシグナルを伝えるタンパク質の働きを抑制します。もうひとつはmTOR阻害剤で、がん細胞に栄養を届けるために作られた異常な血管生成を抑える働きがあります。
サイトカイン療法
サイトカインとは、免疫細胞が分泌するタンパク質の総称で、全身に作用することによって免疫の活性化を助ける働きを持ちます。腎細胞がんでは、インターフェロンα(IFN-α)やインターロイキン2(IL-2)が使われます。
副作用としては、発熱や倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐おうと、頭痛、脱毛、白血球減少などが報告されています。
免疫チェックポイント阻害剤
がん細胞は、免疫細胞からの攻撃から逃れるために、免疫細胞の働きにブレーキをかけることがあります。このブレーキを解除し、免疫細胞の作用を回復させて、がんへの攻撃力を高める働きをするのが免疫チェックポイント阻害剤です。標的とする分子によって種類がことなっており、腎細胞がんでは抗PD-1抗体、PD-L1抗体CTLA-4抗体の3種類、計4剤が適応となっています。
《 ひいの邱・ながおの郷でお受け入れしている入居対象疾患 》
●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群 ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病 ●頸髄損傷 ●進行性核上皮麻痺 ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎
●大脳皮質基底核変性症 ●脊髄小脳変性症 ●スモン ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症 ●プリオン病 ●ライソゾーム病 ●人工呼吸器の方
●気管カニューレの方
《 ひいの邱 》
形態:住宅型有料老人ホーム(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目9番15号
《 ながおの郷 》
形態:サービス付高齢者向け住宅(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目4番21号