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2024-07-05

頸髄損傷について知る① 緩和ケア専門施設(ホスピス)

福岡市でがん難病障害専門緩和ケア施設(ホスピス専門)の住宅型有料老人ホーム ひいの邱 と サービス付高齢者向け住宅 ながおの郷 を運営しております株式会社NICEとグループホーム ひいの郷 を運営しております有限会社エス・エイチ・シーです。

今回は頚髄損傷について書いていきます。今後がん難病施設を運営するNICEでも積極的に頚髄損傷の利用者様をお受入れしていきます。


頚髄損傷とは ?

脊髄は脳とともに中枢神経を構成し、脳と身体の各部位との情報伝達を司る器官です。
脊髄を損傷すると脳と身体との連絡が断たれるため運動や感覚、その他さまざまな機能が障害されますが、損傷個所によって障害の程度は異なります。
脊髄は脳の側から順に、頚髄(Cervical1~8)、胸髄(Thoroacic1~12)、腰髄(Lumbar1~5)、仙髄(Sacral1~5 )といい、頚髄が損傷することを頚髄損傷といいます。たとえばC6損傷といえばC7以下に麻痺(C6までの機能は残存)があるということを意味します。脊髄損傷は一般に、損傷レベルが高位であるほど障害は重くなります。
損傷箇所以下に運動・感覚機能が少しでも残っている場合を不全損傷、そうでない場合を完全損傷といいます。


分類: フランケル, ASIA

脊髄損傷では完全、不全損傷をより細かく分類した尺度が存在します。自身の障害の分類を正確に理解することは、リハビリ時に医師やセラピストとコミュニケーションを取るうえでも重要です。

完全麻痺損傷高位以下の運動知覚完全麻痺
知覚のみ運動完全麻痺で、知覚のみある程度保存
運動不全損傷高位以下の筋力は少しあるが、実用性がない
運動あり損傷高位以下の筋力の実用性がある。補助具の要否に関わらず歩行可能
回復筋力弱化なく、知覚障害なく、括約筋障害なし、反射の異常はあってもよい
完全S4~S5の知覚・運動ともに完全麻痺
不全S4~S5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存
不全神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満
不全神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており、主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上
正常運動知覚ともに正常


運動麻痺
脳から身体の各部位の筋肉への指令は、脳の運動野から脊髄を通り運動神経を経て伝えられます。
脊髄を損傷すると、損傷個所以下へはこの指令は伝わらず、随意筋(=意識的に動かすことのできる筋肉)を動かすことができなくなるため、運動機能が麻痺します。頚髄損傷では一般に上肢以下の運動機能が消失します。呼吸に関わる筋肉も動かすことができなくなるため、肺活量が受傷前に比して低下します。


感覚麻痺
熱い、冷たいといった温冷覚や、痛覚、触覚といった感覚は、身体の各部位から感覚神経を経て脊髄に入り脳の感覚野へと伝えられます。
脊髄を損傷すると、損傷個所以下の神経が支配する領域の感覚が消失します。頚髄損傷では上肢以下の感覚が麻痺します。


自律神経
自律神経は循環や呼吸、消化、排せつ、生殖など生命を維持するために必要な機能を、自律的に(=人が意識することなく)司る神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経はすべて脊髄(T1~L3)を通り、副交感神経は脊髄の一部(S2~S4)と脳神経を介して分布しています。
交感神経は身体を活動的な状態にする一方で、副交感神経は身体を安静な状態にし、両者は拮抗しています。ほとんどの臓器は交感神経と副交感神経とに二重に支配されていますが、脊髄を損傷するとこの両者のバランスがくずれ、さまざまな機能が障害されます。

頚髄損傷ではすべての交感神経と副交感神経の一部(S2~S4)が麻痺します。排せつや性機能が障害され、発汗がなくなり、体温や血圧の調節も正常に機能しなくなります。
また第6胸髄(T6)以上の損傷では自律神経過反射という合併症が起こりやすいといわれています。


二次障害
頚髄損傷では、さまざまな二次障害が生じるリスクがあります。
二次障害には褥瘡や、自律神経系の機能障害、麻痺域の筋肉がけいれんする痙性などがありますが、褥瘡のように予防することができるものもあれば、体温調節障害のように対策を講じる必要のあるものもあり、しくみを知ることが重要になります。


自律神経過反射
自律神経過反射は痛みや熱や圧迫といった刺激が麻痺域にあることが引き金となり、発汗や顔面の紅潮、頭痛、鳥肌、そして血圧の急激な上昇を引き起こす自律神経(交感神経)の過剰な活動です。
自律神経過反射は、通常であれば脳から脊髄を介して伝えられる指令が損傷部以下には届かないため、放置していても治まりません。原因を特定し取り除く必要があります。


機序
麻痺域での何らかの刺激が原因となって、血管、汗腺、立毛筋を司る交感神経が働き、血管が反射的に収縮します。その結果、血圧は上昇し、発汗、鳥肌といった症状があらわれます。
脳は血圧を下げるために血管を拡張しようと指令を出しますが、損傷部より下には脳からの指令は届かず血管は収縮したままです。しかしながら、損傷部より上(非麻痺域)では血管は拡張し、顔面が紅潮し、血圧は上昇したままの状態が続きます。
外傷による痛みや皮膚の圧迫、あるいはカテーテルがつまり膀胱に過度な圧力がかかっているなどの原因である刺激を取り除くと治まりますが、放置すると脳出血のリスクを伴う危険な状態が続きます。

頚髄損傷ではすべての交感神経が麻痺しているため、自律神経過反射でみられる症状が受傷前のように(正常な反応として)あらわれることはありません。したがって、発汗や鳥肌、血圧の上昇などの症状がある場合は自律神経過反射を疑い、原因を取り除くことが必要となります。
一方で自律神経過反射には、その症状を利用して代償尿意(便意)としたり、身体の異常を報せるある種のセンサーとして活用するといった利点もあります。


起立性低血圧
頚髄損傷では交感神経がすべて麻痺しているため、麻痺域の血管の収縮はおこらず弛緩しています。さらに心臓も副交感神経優位となり、脈が遅く(徐脈)なります。そのため急に起き上がると麻痺域に血液が貯まり、循環する血液の量が減り低血圧となりやすく、ひどい場合は脳貧血を起こし失神することもあります。このような、起き上がったときに生じる過度な血圧の低下を起立性低血圧といいます。
起立性低血圧が不安な場合は、血圧を測りながらゆっくりと身体を起こし、急な血圧の変化に注意する必要があります。
めまいや息切れ、意識がもうろうとする場合はすぐに横になります。車いす上での対処法としては、車いすごと後ろに倒れるか、前傾姿勢を取り、頭を低くします。

体温調節障害
体温は、おもに血管の収縮と汗による調節が自律的に行われることで、外気温に関わらず一定に保たれています。暑い時は発汗による気化熱と、皮膚の血管を弛緩させ体表面の血流を多くすることで、熱を体の外へ逃がします。逆に寒い時は血管を収縮させ、体表面の血流を少なくし、熱が外へ逃げないようにします。胸髄上位以上の損傷では、発汗が失われているため、気温が高く暑い時は体に熱がこもります。一方で気温が低く寒い時は、麻痺域では血管の収縮はなく、皮膚の血流が減らないため熱を逃してしまいます。頚髄損傷者は自律的な体温調節が不可能なため、高温時は冷房を使い、腋や鼠径部、あるいは頸部の動脈をタオルなどで包んだアイスノンで冷やすことや、十分な水分摂取をするなどし熱がこもらないようにします。低温時は暖房器具やカイロを利用するなどの対応が必要になりますが、麻痺域のやけど、低温やけどには十分注意します。


痙性
ある刺激(入力)に対して脳を介さず脊髄内で出力を返すことを脊髄反射といい、入力から出力までの経路を反射弓といいます。脊髄の反射弓は通常、脳に制御されています。
脊髄を損傷してしばらくすると麻痺域の筋肉の緊張が高まり、通常とは異なる反射弓があらわれることがあります。痙性は、脳の制御を失った脊髄反射で引き起こされる制御不能な麻痺域の筋肉の収縮です。
皮膚や筋肉、内臓への刺激や、特定の姿勢をとることが引き金となり、腹筋が強く収縮したり、下肢が引っ張られるように伸びたり、股関節と膝が強く屈曲したりします。
痙性は、すり傷や打撲といった外傷や、落車の原因となることがありますが、普段動かすことのできない麻痺域の筋肉が収縮することによって、筋肉の量や骨の強度が維持されることや、移乗の際にこれを利用する、あるいは身体に異常があることを報せる警報器となり得るといったメリットもあります。
痙性の誘因としては、褥瘡、膀胱炎、尿路感染、便秘、骨折、巻き爪、あるいは天候があげられます。 日常生活に支障をきたすほど痙性が強い場合は、薬物療法や外科的な治療を検討する必要があります



《 ひいの邱・ながおの郷でお受け入れしている入居対象疾患 》

●がん(末期) ●重症筋無力症 ●多発性硬化症 ●多系統委縮症 ●進行性筋ジストロフィー 
●筋委縮性側索硬化症(ALS) ●後天性免疫不全症候群 ●ハンチントン病 ●脊髄性筋萎縮症
●シャイ・ドレーガー症候群  ●慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ●副腎白質ジストロフィー
●パーキンソン病  ●頸髄損傷  ●進行性核上皮麻痺  ●線条体黒質変性症 ●亜急性硬化性全脳炎 
●大脳皮質基底核変性症  ●脊髄小脳変性症  ●スモン  ●オリーブ橋小脳萎縮症
●球脊髄性筋萎縮症  ●プリオン病  ●ライソゾーム病  ●人工呼吸器の方 
●気管カニューレの方

《 ひいの邱 》 ホスピスでホスピスで最期までお看取りができる施設になります。
形態:住宅型有料老人ホーム(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目9番15号

《 ながおの郷 》 ホスピスで最期までお看取りができる施設になります。
形態:サービス付高齢者向け住宅(デイサービスあり)
福岡市城南区樋井川4丁目4番21号


《職員募集》
緩和ケアを一緒にしたい、想いのあるケアをしたい仲間を募集中!!
現在100名以上の職員が共に働いています。

【看護師】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)
②夜勤専従看護師:16時~翌10時 もしくは 18時~翌10時)(2時間休憩)


【介護士】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)
②夜勤専従看護師:16時~翌10時 もしくは 18時~翌10時)(2時間休憩)

【事務職】
①日勤ができる方:常勤・非常勤(9時~18時 時間応相談)